このページは、織物(textileまたはweave)における3つの基本組織
- 平織り
- 綾織り
- 朱子織り(繻子織り)
の概要や違いについて解説しているページです。
説明が難しい部分もあるため、わからない点はネットの画像検索でお確かめください。
平織り(平織)とは?
平織り = 読みかた・ふりがなは「ひらおり」
「平織り」とは、3つの基本組織の中でも最もベーシックなもので、
たて糸とよこ糸を1本ずつ交互に交差させる織り方。
「平織り」の布地を拡大すると(近くで見ると)・・・・・
細かなチェック柄のような感じ(たて糸とよこ糸が違う色の糸と仮定した場合)。
■平織りの布のおおまかな拡大図(白と黒の糸を使って織った場合)
このページの最下部に画像あり
【主な平織物】
- ギンガム
- オーガンジー
- シャンブレー
[平織りも見方によっては斜めに線が出ている綾織りにも見える点について]
平織りは見方によっては細かいチェック柄的であるものの、
別の見方をすると約45度の角度で斜めの線(綾線)が表れているようにも見え、
特にネット上の画像では、どちらなのか見分けづらい生地もあり。
平織りと綾織のおおまかな見分け方としては、
近くで見てみて、片方の糸の四方すべてがもう片方の糸に囲まれている場合は平織り、
片方の糸の四方すべてがもう片方の糸に囲まれていない形で斜め線が出ている場合は綾織り。
綾織り(綾織,斜文織り,ツイル)とは?
綾織り = 読みかた・ふりがなは「あやおり」
英語でいうと = ツイル(twill)
別名 = 斜文織り
別名の「斜文織(しゃもんおり)」という呼ばれたかたが示すように、
ウネ(たて糸とよこ糸の交差点)が斜めに並ぶ織り方。
そして、綾織(斜文織)にて織られた織物を「綾織物」という。
なお、「サージ」やその仲間の「デニム」などが代表的な綾織物。
「綾織り」の布地を拡大すると(近くで見ると)・・・・・
畑で例えると、道から畑を見たとして、
ウネ(野菜の種・苗を植えるために人工的に作った細長い山の列)が、
道に対して斜めに並んでいるような状態。
■綾織りの布のおおまかな拡大図(白と黒の糸を使って織った場合)
このページの最下部に画像あり
[見方]
白がたて糸、黒がよこ糸として、
3回に2回のペースで白糸が浮き、3回に一度よこ糸(黒)の下をくぐってまた浮く感じ。
この法則により、例えば白と黒の糸を使用する場合、黒い線が斜めに表れる。
【主な綾織物】
- デニム
- チノクロス
- ギャバジン
- サージ
- カルゼ
朱子織り(繻子織・サテン)とは?
朱子織り(繻子織) = 読みかた・ふりがなは「しゅすおり」
英語でいうと = サテン
平織り・綾織りよりもたて糸とよこ糸の交差が少なく、片方の糸の浮きが多くなる織り方。
平織り、綾織と比べると少数派。
綾織には連続した斜め線が表れるが、朱子織りに関しては、
連続ではないものの、ポツンポツンと規則的なペースで線が表れる。
なお、たて糸を多く浮かせたものが経繻子(たてしゅす)、
よこ糸を多く浮かせたものが緯繻子(よこしゅす)と呼ばれる。
交差が多い平織りと比べると、でこぼこしておらず表面は滑らかで柔軟、
そして、綾織りよりもさらに光沢感のある織物を作ることができるのが特徴。
摩擦に弱いことが主な弱点。
■朱子織りの布のおおまかな拡大図(白と黒の糸を使ったとして)
このページの最下部に画像あり
おおまかにいうと、こちらの拡大図の例で説明すると、5マスに1回のペースで
黒糸が現れ(白糸と交差)、4/5の確率で黒糸が下に隠れているような状態。
「線」は続いていないが、「点」が規則的に斜めに並ぶ。
【"サテン(繻子)"の語源】
中国伝来の織り方(織物)で、中国のある地名が由来と言われる。
【朱子織の長所と短所まとめ】
- 長所=綾織りよりも高い光沢感
- 長所=表面が滑らか(すべすべ)・・・・・ツイードのようなザラザラ生地とは対極的
- 長所=生地が柔軟
- ×短所=摩擦に弱い
- ×短所=頑丈な作りではない
【主な朱子織物】
平織物、綾織物と比べて種類はわずか。
- 絹製朱子織物[本繻子・シルクサテン] = 英語ではsatin(サテン)
- 綿製朱子織物[綿繻子・コットンサテン] = 英語では正確にはsateen(サティーン)
- ドスキン
平織りと綾織りの特徴の比較
*基本的な違い。(一部例外がある場合あり)
*朱子織物は少数派のため、比較は省略します。
【平織物】
- 伸縮性は綾織物よりも低い
- 光沢感に欠ける
【綾織物】
- 伸縮性は平織物よりも高い
- 平織物よりも光沢感のある生地が出来上がる
紙を使って出来る、簡単な平織り・綾織・朱子織の体験方法
2色の紙(折り紙など)を使用して、簡単に実践・テストできる
平織り・綾織・朱子織の体験方法。
上記説明ではいまいち理解できないかたにおすすめ。
手順1:まず色の違う2枚の紙を用意
*2色の折り紙を使のがベスト。
*ない場合は、白い紙を用意して太めの鉛筆などで片方をできる限り黒く塗りつぶす形でも問題なし
手順2:メインの白い紙を2つに折り、
5mmから1cmくらいごとに、紙の端の手前まで縦に切れ目を入れていく
(紙の端の手前でハサミをとめるため、髪をとかすクシのような感じの状態になる)
手順3:もう片方の色紙を白い紙の切れ目の間隔と同じ幅で切り、細長い糸状にする
これにより、色紙がうどんのような細長い紙が多数ある感じになる。
手順4:切れ目が入った白い紙を再び一つに広げてタテ糸が並んでいる状態にし、
その切れ目に対してヨコ糸に見立てた色紙を織り込んでいく
*織り込みの法則はこのページ内の画像を参考にしてください
(例えば、平織体験の場合は色紙が交互にたて糸の下にもぐらせたり、たて糸の上に乗せたりする)
これを繰り返すことにより、ある程度簡単に体験することが可能。
図による、紙を使った織り方体験方法
このページの最下部に画像あり
関連製品,資料
こちらの作品は、第5章にてさらに詳しい織物の構造の説明がわかりやすく掲載されています。
繊維業界に入りたいかたや入りたてなどかたは必読。
繊維の種類と加工が一番わかる [ 日本繊維技術士センター ] 【目次】(「BOOK」データベースより) 1章:繊維ってどんなもの 2章:天然繊維 3章:化学繊維 4章:織物 5章:編物 6章:布地の性質 7章:染色仕上げ加工 8章:縫製と製品 9章:進化する合成繊維 |
本気で織りかたの種類を覚えたい場合は、紙による方法では限度があるため、
一度卓上はたおり機を入手し、はたおり機のおおまかな仕組みを理解する必要あり。
ベーシックな格安卓上はたおり機。
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