短繊維と長繊維
短繊維(たんせんい)とは?
短繊維(たんせんい)とは、
英語でいうと、「ステープル・ファイバー(staple fiber)」。
略して「スフ」ともいう。
綿や羊毛など、単体(1本)だと長さが短い繊維のこと。
(長くても数十センチメートル)
単体では長い糸を作れないため、撚りをかけて紡ぐことにより長い糸になる。
そして、短繊維から作られた糸のことを
「紡績糸(ぼうせきし)」or「スパン糸(spun yarn)」という。
【主な短繊維1本の長さ】
- 綿= 3cm前後
- 羊毛= 10cm前後
- レーヨンの短繊維(化学性短繊維の代表格)= 不明
*化学繊維(レーヨン、アクリルなど)に関しては、
フィラメントファイバー(長繊維)を短く切断して短繊維にする。
【レーヨン以外の化学繊維のステープル情報】
その他、日本化学繊維協会HP内の公開資料によると、以下の通り。
詳しく知りたい場合は、日本化学繊維協会HP内の電子資料で見られます。
- アクリル= ステープルでの使用が中心
- ポリエステル= ステープルも存在
- ナイロン= ステープルも存在
- キュプラ= 若干ステープルも作られている
長繊維とは?
長繊維(ちょうせんい)とは、
英語でいうと「フィラメント・ファイバー(filament fiber)」。
絹のように単体(1本)でもかなり長い繊維のこと。
そして、その長繊維を使用して作られた糸のことを
「フィラメント糸(ふぃらめんとし)」または「フィラメント・ヤーン」という。
なお、絹の原料になるカイコの繭(まゆ)は1つ1つは、
短い繊維が何十本、何百本集まっているわけではなく、
1本の繊維(糸)が丸まって出来た作りになっており、繭1つで1.5km(1500m)くらいの糸になると言われる。
【主な長繊維1本の長さ】
- 絹=1つの繭あたりが約1.5kmの1本の繊維(糸)で構成
- レーヨン=人工物のため理論的には無限
- ナイロン=人工物のため理論的には無限
*通常の工程で作られた絹糸は長繊維に分類されるものの、
くず繭や絹糸くずといった余り物を紡いで作ったランクの低い絹糸「絹紡糸(紡績絹糸)」という紡績糸も別にあり。
各化学繊維は短繊維か? 長繊維か?
天然繊維に関しては、長さが1本の長さが決まっているため、
はじめから短繊維か長繊維のどちらかに分類が可能。
それに対し、化学繊維(合成繊維、再生繊維など)に該当する
- ポリエステル
- ナイロン
- アクリル
- レーヨン
- キュプラ
などは、製造段階で作る側により長さをコントロールすることができるため、
繊維ごとに短繊維か長繊維かを分類することはできない。
そのため、「レーヨンのステープル」は短繊維、
「レーヨンのフィラメント」は長繊維、といった分類の仕方になる。
【関連用語】 "撚る(よる)"とは?
「撚る=よる」とは、英語でいうと「twist」になり、
直訳すると、「ひねる」という意味。
糸作り用語としては、
「複数の糸をひねって絡ませる(そして、糸や紐を作る)」
という作業のこと。
なお、通常の「撚り(ひねり)」が少なめの糸は「甘撚り糸(あまよりいと)」という。
【「撚る」と「紡ぐ」の違いについて】
- "撚る"=英語で「twist(ひねる)」
- "紡ぐ"=英語で「spin(回す)」
というような意味で、
「撚る(ひねる)」は「糸を紡ぐ」という行為の中の一つ
といった定義になる。
まとめると、
- 撚る=糸を紡ぐ(糸を作る)という作業の中の、糸をひねるという動作
- 紡ぐ=数本の糸(短繊維)を束ね、撚りをかけ、紡績糸を作る、という紡績糸作り作業全体を指す
というような意味。
*単糸ではなく双糸、三子糸の場合は、紡ぐ作業の中で2回"撚る"という作業が発生する。
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